公務員のする仕事とボランティアの違いってなんだろう?
ある企画を実施するか否かを考えている際、ふとそんなことを思いました。
企画内容をざっくり言うと、地域の子どもに貴重な体験の機会を与えるために、東京から有名なアーティストを呼んで共演させるというものです。
一見、子どもの教育の一環で公共事業として行うことに特に問題はなさそうに思えます。しかし、この企画のデメリットを考えると、間違いなくそうだとは思えません。
具体的には、有名で華やかなアーティストと深く関われば関わるほど、子どもたちはそのアーティストや、彼らの活動拠点である東京へ憧れを抱くようになることが考えられます。これは多くの地方で問題となっている人口流出を後押しすることになりかねません。
こういったデメリットも考えられる企画を実施すべきかと考える中で、公共事業、ボランティアで実施することの違いを意識するようになりました。
ボランティアについて、厚生労働省が公表した資料には、明確な定義を行うことは難しいとしたうえで、『一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、活動の性格として、「自主性(主体性)」、「社会性(連帯性)」、「無償性(無給性)」等があげられる。』と記されています。
他人や社会に貢献する行為というのは、公共事業にも共通しそうです。私が注目したのは、「無償性(無給性)」という点。私はこれを「見返りを目的としない」と解釈しました。
今回の例で言うと、ただただ子どもたちに貴重な経験を与えてあげたいから東京のアーティストを呼んであげる。これはボランティアだと思いました。
一方で、公共事業については様々な定義づけがされていますが、共通しているのが、「公共の利益」という考え方。自治体が行う公共事業であれば、それは、その地域にとって「利益」となる必要があります。
よく、公共事業を民間事業と比較する際に、利益を目的としないという言い方をすると思います。しかしそれは、県庁や市役所、町村役場がその事業によって利益を上げないという意味であって、自治体そのもの、またはそこに住む人々にとっては、利益をもたらすことでなければならないということに改めて気づかされました。
今回の企画に当てはめると、地域の子どもを東京のアーティストと共演させることで、自治体に何か利益をもたらしてくれなければなりません。
しかし実際には、子どもに東京への憧れを持つきっかけを与えることとなり、将来の都市部への転出を助長させる恐れがある、つまり、自治体にとって不利益となる可能性があることから、公共事業としてすべきではない。
これが、私の個人的な見解です。
今回の例から私が学んだことは、公務員も利益を求めなければならないんだということ。そしてそれがボランティアとの違いだということ。もちろん個人的な利益を追求することはできませんが、地域全体にとっての利益を生み出すためにどうすべきかという考え方を持つことで、新たな発想も生まれる気がします。
コメント